硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

小さな縁(エニシ)

意識していなかったのに いつの間にか家の中で

その存在を 認めた生き物がいる

 

一つは 名前の分からない植物

 

Googleレンズもお手上げの草 』

休みに日に 義母の見守りに出掛ける夫は

庭の花を 摘んで帰る

黄色い待宵草 空色の紫陽花 

純白のノースポール 紅い椿

家にある花瓶に挿しては 玄関やリビングに飾った

小さな花は 空き瓶を使う

 

しおれた花を棄てるうちに 季節は晩秋

飾る花の無い季節になった

トイレの北向きの窓辺に 飾った花は

とうに終わっていたが

花に紛れ込んでいた一本の 草だけが生き残っていた

 

水替えだけで 生き延びているのは

重し代わりに入れた砂に

しっかり根を下ろしていたから

 

北側の冬の窓は 結露が凍ってしまう程寒い

瓶から引っこ抜く予定だったのに

暖かいリビングの カウンターにお引っ越しした

「君の名前が分かるまで 付き合うことにするよ」

 

 

もう一つは 8月に見つけたクモの巣

 

『チリグモ』

 

リビングの白い壁に 白い幕が張り付いている

よく見ると 中には足を放射線状に広げた

主の姿がある

 

Googleレンズで「チリグモ」と判明

目に見えない塵のような

虫やダニを食べる小さな蜘蛛

人が寝静まった頃に 捕獲するのか 

巣の外に出た姿を 見たことがない

 

半年経過しているけど

生きているのかな? 

埃取り用の ハンディワイパーで軽く撫でると

巣の中で慌てたように 動いた

真冬に外に放り出すのは 可哀想

「気のすむまで  ロハで滞在して下さい」

 

水を替えたり 観察したり

家の中に 生き物がいると

どんなに小さなものでも

命の温かさを 感じられる

 

『草とシロアズチグモ』