週末の土曜日
降雨の予想でなければ
午前5時に起床
手早く準備を済ませ
懐中電灯片手に
チーと山道を上る
家を出てしばらくは
私の後ろを ノロノロと歩くチー
道路の左手に 竹藪が見え始めた時
突然 藪から声がした
「ゴフッ ゴフッ」
そして「ブフーッ」と 荒い鼻息
『伊之助だ!』
懐中電灯を 竹藪に向けると
道路近くの竹の隙間から
猪の下半身が 見えた
『チーより一回り大きい』
と 思っと瞬間
チーが竹藪に向かって 走り出した
猪との距離は 約15メートル
リードは最長で 5メートル
到底 届かない距離なのだが
向かって来られては 敵わないので
リードを引っ張った
犬の駆け寄る足音を 耳にしたからか
猪は 竹藪の奥へと消え
チーは 逃げ去った相手に
キュンキュンと 甘え鳴きをしていた
「哺乳類は皆お友達」の この方は
ワンワンと 相手を威嚇した事がない
人間と四つ足動物は
遊び相手と 思っている 天然ちゃんなのだ
犬の本能として 逃げる相手は追う
しかし チーは向かって来られると
腰が退けるので
共に逃げられる場所を 考えた

竹藪の中が 静かになり
私達は引き返さずに ゆっくり進んだ
もしもの時は
水路工事を表示した 立て看板の後ろに
逃げ込むと決めた
鈍足の私は
追いつかれる可能性は 大きかったけれど…

今まで散歩中に 猪に出会った経験が 三度有る
いずれも 相手との距離が有り
子供連れではない単体だったのが 幸いし
猪の方から先に 姿を隠してくれた
逃げ隠れする場所が有ると
無用な戦いを 避けてくれるようだ
もちろん それはチーの存在があればこそで
とても心強い 相棒だ
竹藪を通り過ぎた後は 耳を澄ませ
照らした道の先を 確認しながら歩いた
頂上に近づくと 道はなだらかになる
黎明の光の中
シロヨメナの花々が 白く浮び上がる

花を少し頂いて
今週も無事に
チーと一緒にお参りが 出来た

































