硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

人の恋路を邪魔する奴は

私は 古いお人形が好きなので

よく ヤフオクやオンラインショップを見る

たくさんのお人形達が 次々現れては消えていく

たまに出てくる名品は まさに眼福

 

我が家のお人形さんは ただ今「満員御礼」状態なので

惹かれる娘がいても ポチっとクリックは禁止

「大事にしてくれるお家に 迎えてもらえますように」

と 願うだけだ

 

市松人形といえば 

多くは 七五三の装いをした女の子だが

中には 男の子も存在する

家紋入りの紋付き袴を着た

品のあるお坊ちゃん

 

そして希に対になった 市松さんカップルもいる

二人並んでいると 実に微笑ましい

「緑青」vol.12より 松乾斎東光作

 

しかし ヤフオクという「利益至上」の場では

出品者の大半が 本来一対になった市松人形を

男女別々に 出品する

 

ヤフオクで 市松さんの男の子を見たら

私は 対の女の子を探す

同じ出品者のページで

簡単に見つけられるのは

身長もほぼ同じ

何より 二人の顔が瓜二つなのだ

 

「二人共 同じ人が落札しますように」と 願うが

その確率は 低い

市松人形は 女の子の方が人気が高く

男の子の落札額の 3~5倍の高値になる

「緑青」vol.5よりお借りしました 滝澤光龍斎

 

先週 名品といえる 二組の市松さんが出品された

一組目は 先に男の子を落札した人が

女の子も入札していたのに 最後で競り負けてしまった

 

「なんて事してくれたんだ!」

「鬼ー!」

突如現れて 女の子かっさらって行った落札者を

私はなじり倒した

 

男女共に 入手しようとする人は少ない

せっかく 二人を引き裂かないように

迎えようとしてくれていたのに

台無しだ

 

もう一組は 人気が高い光龍斎作だった

女の子の市松人形は いつも高値で落札される

こちらはさすがに 男女共に

落札しようとする人はいなかった

 

それにしても...と思う

名品は 大正から昭和初期作品のものが多い

その頃から 二人仲良く

並べて飾ってあっただろうに

一対のものを 分けて出品するのを

酷いと 感じないものなのだろうか

 

それとも 半世紀以上も一緒に居たからこそ

当の本人達は 新しい出会いに

ときめいていたり

これも運命と お互い諦観の境地に

達しているかもしれない

そう思わないと 遣り切れない

 

雛人形だったら 男雛と女雛を分けて

出品する人は居ない

多分 買い手がつかないから

 

LGBTの方が 女雛二人が並んだ

(男雛の居ない)雛人形

購入しようとしたが

どこのお店でも断られ 十数軒目でようやく

入手できたという 新聞記事を読んだ

 

これからは 「男女一対」という概念は

変わるのだろう

それでも 一対は二つ揃ってこそ意味を成す

 

それを分かつ者に 言ってやりたい

「人の恋路を邪魔する奴は 馬に蹴られて○んじまえ!」