硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

おかっぱ頭の守り人

京都の宝鏡寺は格式の高い尼寺である 

寛永21年(1644年)に後水尾天皇の皇女が入寺され 代々皇女が住職を務めた為 

度々御所から人形が贈られた 

昭和30年代に人形の一般公開を始め、人形供養も行うようになり 今や人形寺としても有名だ 

寺の人形塚には 武者小路実篤の詩が刻まれている

「人形よ 誰が作りしか 誰に愛されしか知らねども 

愛された事実こそ 汝が成仏の誠なれ」 

 

 

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江戸初期 本覚院宮様のお人形「万勢伊」様は 毎夜寺内を見回りして

三代に渡り 宮様を御守りしていたという逸話が残る

 

 

昭和の始め 京都の親は「辛いことや悲しいことがあったら お人形さんに愚痴聞いてもろうて頑張りや」そんな言葉と共に

娘一人 婚家に送り出す親の気持ちを託され 嫁入り道具の一つとして市松人形は送り出された

 

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時を経て 大切な人と別れ又新たな出逢いに恵まれ 市松様の愛された記憶が甦る 

 

あるサイトで 投稿者が幼少の頃体験した 不思議なお話を見つけた 

 

夜一人でトイレに行けない 怖がりの女の子だった 

母や姉は なかなか起きてくれず お漏らしをしてよく叱られていたが 

ある時から妙な夢を見るようになる 

『トイレに行きたくなると 祖母が大切にしている六体の市松人形さん達が

シュタタッと迎えに来てくれる 

何かおしゃべりしながら 用足しが終わるまで待っていてくれ 

彼女が布団に入るのを見届けると 皆が手を振って 又シュタタッと帰って行く 

そんな夢を見続け いつの間にか怖がりが治った』というもの

それには続きがあり 姪5歳(姉の子)が自分と同じような怖がりで 

同じような失敗をするのだが 何故か実家ではちゃんとできる 

話を聞くと「皆が付いてきてくれるから 怖くないんだよ」と とびきりの笑顔 

更に詳細を尋ねると 自分がみたと同じような夢を話したので驚いた 

そんなほっこりするお話  

 

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私の元に来てくれた 古い市松人形達の足袋底は大抵少し汚れている 

一番最初に市松人形を迎えた女の子が 怖い夢をみた時 

枕元にシュタタッと駆けつけて悪夢を払ってくれる 

そんな場面を想像して ほのぼのとした気分になる 

 

よく怪談ネタにされるが 本来市松人形は昔から 女の子にとって頼もしい守護者なのだ  

 

今夜 私も「一人でトイレに行くのは怖ーい」と言ってみようか 

女の子限定オプションで 私は年齢対象外なのだろう

でも 誰か一人でもいいから シュタタッと駆けつけてくれないかな