去年の秋 私はマイナンバーカードを作った
切っ掛けは マイナーポイント欲しさだったが
正直 必要性をあまり感じていなかったので
気が付けば 締め切り最終日になっていて
慌ただしく ネットで登録申請をした
問題は本人の写真
居間の白っぽい壁を背景に
自撮り写真を撮る
しかし 何度撮っても気に入らない
お化粧しても イマイチ
髪を纏めたり 下ろしたり
広島カープのユニでも 映えない
「何でこんな老け顔に映るんだ!」
スマホに 怒り心頭の私に
「まんまじゃん」
スマホを見た夫が ゲラゲラ笑う
『そんなわけあるかい』
心の中で 反論する
『洗面所の鏡では もっとマシやぞ』
あの鏡は魔女の鏡か?
「こんなの私じゃない💢画像」を
仕方なく送信したが
市役所で すんなり受け取れたから
違和感が無い写真なのだろう
私は受け取った マイナンバーカードの
顔写真部分を 黒く塗り潰したい衝動を押さえて
引き出しの奥深く 仕舞い込んだ
病院では 保険証が通用するので
不便はない
そして 今年の秋 運転免許証の更新ハガキが 届いた
これは本人確認の為に使う 重要なカード
「同じ轍は踏まない」 画像リベンジ
私の在住する市では 警察署での更新は出来ない
遠方の運転免許センターまで
足を運ばなければならない
平日か日曜日の 受付8:30~9:30 13:00~14:00
仕事休みの日曜日に 出向くと決めて
土曜日に 美容院でカット&セットをして貰った
一晩くらいなら セットも崩れない
免許証を入れている ビニールケースに
前回の更新時に書かれたメモ書きが 入っていた
[日曜日は人が多いので8時には受付が始まる
早く行っても大丈夫]
ありがとう5年前の私
伝言をしかと受け取って 早めに就寝した
翌朝 メイクもヘアーセットも バッチリ決めて
午前6時45分に 家を出た
通勤ラッシュの無い日曜日だから
7時30分に センターに到着し
一番建物に近い場所に 車を停めた
建物内の 人もまばらなロビーで
文庫本を開いて待つ程の 余裕のよっちゃん
8時前には 受付の説明が始まり
一列に並んでいる人が バラけていく
日曜日は 大勢の来場者が訪れるので
開いている窓口も案内係も 数が多く
手続きも スムーズに進む
写真撮影に行くと 前に男性が一人
待つ間に パーカーを脱ごうとして手間取る間に
「はい 次の方」
慌てて座って カメラを見つめる
「もう少し顎を上げて」
パシャリ
最後の講習は 教室が定員30人に達すると始まり
煽り運転の罰則が出来たお話が 中心だった
そして 講習終了後 番号札と引き換えに
新しい運転免許証を 受け取った
その顔写真を見た瞬間
私は奈落の底に落ちた...
『前髪が グダグダになっとるやん!!』
私は車に戻ると直ぐに メモ書きを始めた
「建物に入ったら まず 鏡で身だしなみチェックする」
「手鏡持参で 撮影前に再度チェックする」
「『急いては事を仕損じる』を 肝に銘じておけ」
5年後の私の為に 免許証と一緒に
ビニールケースに差し込んだ
もっとも 次の更新まで
運転免許証が存在しているかどうかは
分からないけれど