硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

お骨と墓石

テレビで刑事ドラマを観ていたら ある事件の発端が

「13基の墓から 遺骨が盗まれた」と いうもので

2基を除く他の被害者は 少額の身代金を払った

 

ドラマの主人公は 「仏教的には 遺骨などという概念はなく

お骨は 単なる脱け殻に過ぎません」と 言う

確かに 遺骨を大切にし始めたのは 明治以降のようだ

 

 

今まで参列した「骨上げ」で 骨の一部を 手元に置いておきたいと 

持ち帰る人は 居なかった

両親や兄の収骨も 職員さんの指示で 粛々と行われ

長い間存在していた肉体が 消え失せ

白い骨に変わってしまっても

故人の面影の無い遺骨には 何の情も湧かなかった

 

「私は冷たい人間なんだろうか...」

天然 !さんの記事を読んで 考え込んでしまった

aki3nak.hatenablog.com

 

西日本は部分収骨で 残った残骨灰は 自治体の所有となり

所定の供養地に 埋葬されるようだ

宗教学者の島田氏の著書「0葬‐あっさり死ぬ」で 提唱した

手間と費用を掛けない為に

葬儀を行わず 火葬後収骨もしない「零葬」と いうものは

墓を持つ必要も無くなる 葬り方になる

 

しかし 葬儀と収骨は 故人よりも

遺された人達の為に 必要なものだと思う

 

 

父の産まれた屋敷(撮影時期も人物も不明) 

 

実家の墓は 元々は見晴らしのきく所に あった

人手に渡った山は 手入れが為されず 

大木が墓地に迫り 道も狭くなった為 

父は移転を 決意した

 

道路に近い 屋敷跡の土地を

墓地に必要な分だけ 買い戻し

御影石造りの 一族の墓石を新たに建立した 

 

業者さんに 古い墓石を山から下ろして貰った後

父一人 墓地跡地に残り

線香を供えて拝み 立ち去ろうとした時

『まだ ここにおるぞ...』と 声がした

 

不思議に思い 辺りを見回すと 

隅の方に転がっている石が 目に入った

河原から 拾って来たような大きめの石で

「これの事か?」 そう思い

山から転げ出たような石とは 異質のもの全てを 

業者さんに頼んで 運んで貰うと

もう 二度と声は聞こえなかった

 

新しい一族の墓の隣に 誰のものか 分からない

漬け物石のような墓石が 数個据えてある

遺骨よりも墓石の方が 疎かに出来ないのかもしれない

一番古い墓は「天保」のもの

 

墓を移転しても 父は墓地跡地にもお参りを 欠かさなかった

足を悪くするまで 獣道のような山道を登って

通った父だからこそ

先祖の声が 聞こえたのだろう

 

 

今や「墓仕舞い」を考えている私にも 

何か言って来てくれませんかね

ご要請・リクエスト常時受付中

但し 恨み言・無理難題は お断りします

 

sakutamatengo.hatenablog.com