硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

僕(シモベ)の布団

寒い季節になると チーム猫との夜を思い出す 

 

 

暖かいこたつに 猫三匹が集う夜 

私は就寝する為 2階の自室に入り 洋間のフローリングに布団をひく 

私が布団に入ったタイミングで 黒猫『朔夜』がやって来て「にゃー」と鳴く 

布団をはぐると ごそごそと肩口から入り 私の脇の下で一緒に眠る 

厚い布団に潜り込んだままで 「窒息しないんだろうか」と 時々鼓動を確かめる 



白猫『珠玉(タマ)』は時々 夜更けにやって来て 肩の方から布団の上を移動する 

踏まれた朔夜が 「にゃんだよー」と布団の中で怒る 

そんな事は意に介さず 私のお腹か太もも横辺りの布団の上で 丸くなる 

 

気の向いた時にしか来ない 白茶トラの『天護』は私の枕の上に眠る 

枕といっても 薄いガーゼ布団を折り畳んだ 細長いもの

そこを半分以上占拠する 

 

三匹に揃われると 寝返りすら うてなくなる 

ガリバー旅行記ガリバーみたい 微動だにできない 

更に悲劇は続く 

 

夜中にトイレに行く為 そーっと布団を抜け出して戻ると 

どんな流体力学が働くのだろうか 三匹が各々 布団の中央に移動している 

珠玉の幸せそうな寝顔を見ると 起こすのが忍びない 

 

私は布団の端をそっとめくり ゆっくりと体を滑り込ませる 

仰向けになると 身体半分は床の上にはみ出し 

横向きになると 背中と腰が丸出しで 「寒い!!」 

マッチ売りの少女か フランダースの犬のネロかよ 

凍死は避けたい



私は陣地を取り戻すべく 一番上の毛布をそっと引っ張る 

一番デカイ白猫が乗っているせいか びくともしない 

仕方がないので 一番下の薄い肌掛け布団を

じわじわ引っ張り はみ出た身体に掛ける 

 

「ここ 私の布団だよ~寒いよ~」

猫のしもべは ぼやきながらも いつの間にか眠りに落ちる 

 

しかし 意識を失くした私は 悪魔に変貌するようだ 

多分 白猫は 布団から転げ落とされ 白茶トラは 頭突きをくらい 共に階下に逃亡 

黒猫は 布団の中で難を逃れ 何事もなく布団にくるまれ 私と朝を迎える  

 

時が経ち 朔夜と珠玉が 天に召されて変わったことは 

天護が淋しがりやになって 毎夜やって来て 枕の上で眠るようになった

私は 寝返りうち放題 トイレに行っても暖かい布団を占領されなくなった

 

 

それでも あの窮屈で寒い夜が 今は懐かしくて とても恋しい