硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

ソロギター用のギター②

私のギターは

トップ(サウンドホールがある面)が

「シトカ・スプルース」

サイド&バックの使用材が

「ローズウッド」

特徴は 低・高音がよく響き

明瞭な音色が広がる

 

ソロギター用に考えた もう一つのギターも

トップは同じだが

サイド&バックの使用材が 「マホガニー

『耐久性に優れ乾燥にも強いので音が狂いにくい 』

相棒とスケール(ネックの長さ)は 変わらないが

ネックが薄くて握り易い

ボディのくびれが深いので 抱え込み易い

何より弦高が低いので 弾き易い

「易い」の三連発でいい感じ

 

音を出してみる

「!?」

音色が堅くて 響かない

煌びやな フォスファーブロンズの弦で

余韻が 広がらない

「これが 暖かみのある 優しいマホガニーの音色?」

 

ローズウッドが [鉄琴]なら

マホガニーは[木琴]に思える

解りやすく例えれば そんな感じだ

予想外の音に 私は困惑を隠せなかった

 

店主の勧める 他のギターも試奏させて貰う

予算より高めだが 鳴りの良いギター

しかし 「親の欲目」ならぬ「オーナーの欲耳」か

『うちの相棒の方が良い音色』

正直 そう思った

もちろん 私の予算を大幅に超過するギターには

敵わないだろう

 

結局 一番弾き易いのは

最初のマホガニーだった

「これ 弾いてみて貰えます?」

私は 店主にギターを手渡した

 

彼は受け取ったギターで

軽快なメロディーを爪弾き始めた

向かい合って 音に耳を傾ける

 

低音が控えめで 全体のバランスが良い

煌びやかな余韻を纏わない 素朴で無垢な音が

ポンポン飛び出してくる

『これが マホガニーの真骨頂』

 

左手で 正確に指板の弦を押さえ

右手で きっちり爪弾かなければ

この柔らかく丸い音色は

ぼやけて綺麗に 抜けていかないだろう

 

ギター教室もしているという店主の

楽しげな演奏を聴きながら 迷った

 

『入門本の序章で 四苦八苦しているのに

更に課題を 背負い込むつもりか?』

答は『yes』

 

「このギターに決めました!」

私が そう声を掛けると

店主は 一瞬驚いた表情をしたが

直ぐに にっこり笑って

「ありがとうございます」と言って

頭を下げた

 

新しい事を始めれば

課題山積みは 当たり前

自分なりに一歩づつ

ステップアップすればいい

知らない事を 知り

出来ない事が 出来るようになるのは面白い

好きな事なら 尚の事

 

「お渡しする前に 綺麗にします」

奥からメンテナンス用品一式を

持って来た店主から

フレットやボディの

手入れの仕方を学び

弦を張り替えて 終了まで

ギターの話に 花を咲かせて

本当に楽しかった

 

重厚なハードケースに納めると

ずしりと 重くなった

相棒より軽い マホガニーのギター

 

私は お店の出口で振り返り

「良いギターを ありがとうございました」

今度は 私が頭を下げた

 

演奏同様に 笑顔も素敵な

イケメン店長さんのいる

ギター専門店だった