硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

銀杏の難

チーの散歩コースで

毎年 銀杏がたくさん落ちる場所がある

見ているうち このまま腐らせるのも

何だか 勿体ないような気がして

20個位 拾って持ち帰った

 

以前 下処理されたものを 頂いたことはあった

紙封筒に入れて レンジで温め

殻を割り 塩をかけて食べた

美味しいというよりは 季節の珍味

家族の評価は イマイチだった

 

今回は『「ぎんなん飯」を作ってみよう』

そう思い立った

ご近所に「ぎんなん飯」が美味しいと

評判のお店があった

一度食べてみたいと 思っていたのに

機会を逃すうちに 閉店してしまった

とりあえず 自分で作ってみることにした

 

銀杏の 柔らかい実をほぐして

核を取り出し 綺麗に洗って干す

ここまでは簡単だった

 

その夜 私の手に妙な感触があった

両手に何か薄皮一枚 張り付いているような

ざらついているような 感覚

 

窓を閉め切り 汗だくで

ギターの練習をしていたが

いつもは 汗で滑りやすくなるピックが

挟んだ指から 移動しない

「こりゃ いいや」と 気分も上向き

翌日には その違和感は消えていた

⦅ピックはギター弦を弾く道具⦆

 

異変が起きたのは 更に翌日

風呂上がり 自分の両手の指の皮が

剥けているのに 気が付いた

 

日焼けした後の 皮膚の剥け方と同じで

両手の指 全てで 薄い表皮が剥がれる

下にはちゃんと 再生した皮膚があり

痛みも痒みもない

それは2日程続き 少しづつ治まった

 

「人間の皮膚の再生力は 凄いな」と

感心してばかりも いられなかった

私は仕事で ゴムの部品を引っ張ったり

捻ったりしながら 検査をする

剥がれた表皮を 製品に付ける訳にはいかない

 

指の浮き上がった薄い表皮を

強力なガムテープで取り除き

ハンドクリームを 塗った

幸い 指先は症状が軽かったので

仕事に 支障は出なかった

 

原因は 素手で行った

銀杏の下処置にあった

私は臭いだけが 難点だと思っていたが

柔らかい実に含まれる「イチオール」により

アレルギー反応(接触皮膚炎)が 起こるようだ

人によっては 痛みや痒み 水泡が出来る事もある

 

個数が少なく 時々水を流しながらの作業だったので

私の場合はこの程度で 済んだのだろう

 

癖のある野草や木の実等を 採取する時は

多少の下調べが必要だと 痛感した

 

これからの時期 お子さんと野外にお出掛けになる方は

気を付けて下さいね

 

 

結局 「ぎんなん飯」は

夫の「やめてー!!」の猛反対にあい

断念する事となった

 

夫は 炊き込みご飯は喜んで食べるのに

「○ご飯」は (○は 芋・栗・豆・筍)

ブーイングの嵐

『しかし 結局は食べるのであった』

 

私は自分が食べたい時は

夫を無視して作っているのだが

「ぎんなん飯」は 未知の味なので

失敗すれば 鬼の首を取ったように

勝ち誇られるのは しゃくに障る

 

今度 一人分を こっそり作ってみることにして

銀杏を冷凍庫に納めた