硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

『テトちゃうやろ!?』

ようやく冬らしい気温になり始めた 11月の下旬

室内が暖かくなり始める 職場のお昼前

「私ちゃん テトが肩に乗っとるよ」

後ろのデスクから 声を掛けられた

 

「!?(タイトル通り).....」

私は作業の手を止めて 

キャスター付きの椅子を 後のデスクに向けて

スーっと滑らせ 背中を向けたまま

「取って」と お願いした

「無理無理無理」

S2さんに即座に拒否された

 

仕方がないので 椅子からゆっくり立ち上がり 

更に後部デスクの S1さんのところまで移動して

「取って」と 又背中を向けたまま お願いした

 

彼女は 手慣れた様子で

布製のガムテープを 5cmくらい千切ると

軽く私の背中に 押し当てた

「取れたよ」

そう言いながら

ガムテープを折り畳んで

ゴミ箱に放り込んだ

 

「ありがとう」

お礼を言いながら S 2さんを振り返り

「全っっっ然 似てないけど 何でテトなのよ?」

「肩に停まってる姿が 茶色で足が長くて

テトみたいで 可愛かった」

彼女の想像力は 凄いな 

 

最近 仕事中 背後で「ギャッ」とか「ヒッ」とか 

同僚の悲鳴が聞こえると

近くに テトとは似ても似つかぬ

ヤツの姿がある

 

ヤツの名は「クサギカメムシ

刺激を与えると 強烈な悪臭のする

アルデヒド系の毒を 噴射する厄介者

今年は 大量発生しているようで

職場で 家で 退治に追われている

 

 

家の壁面や網戸で見付けたら 空き瓶に捕獲

洗濯物では 靴下や衣類の内側に入り込むので

取り込む時に ガムテープは必須

 

職場では ブーンという羽音や 

視界の端で動くもので 度々仕事が中断する

「臭ーい」「頭が痛い」 騒ぎながらも

ガムテープと殺虫剤で 補殺

べとつかず速効性のある 凍殺スプレーは好評だ

 

昼休みと退勤時には 駐車場で

イカーをチェックする

車のドアや窓の隙間から 入り込んだ奴等をやっつける

害虫の類いは 容赦なく始末しても

少しも痛痒を感じない

昼は8匹 夕方は6匹 マイカー捕獲

 

気温の低下と共に 捕獲数も落ち始め

カメムシ・ジェノサイドも

ようやく 終了となりつつある

 

職場には あの独特の臭いが

あちらこちらに 漂っている

消えた命の残り香のように