六星占術で 良くない運気の流れとされる「殺界」
その中でも 特に注意が必要とされる「大殺界」
何気に自分の生年月日から調べてみたら 今年は三年続きの真ん中「停止」にあたる
いわば「前厄・本厄・後厄」の「本厄」だ
去年に続いて「我慢の年」という おみくじの言葉も 府に落ちる
去年は家族のトラブル処理に追われ 一つ峠を越えたが 結局山は越えられなかった
今年は 次の峠越えが待っているわけだ
どうにも気分が塞ぐまま 出掛けた
kaoru ちゃんは 自宅の一室を改造して美容室を営んでいる
木製のドアを開け 暖められたお店の大きな鏡の前に座る
カットに行く暇もなく一年伸ばした長い髪を 彼女はバサバサ切っていく
肩から広がるケープの斜面を 焦げ茶色の髪がスルスルと滑り落ちて行き
私の頭と心は みるみる軽くなる
「よく こんだけ伸ばしたねぇ」 床を掃きながら 感心したように彼女は言う
『そう よくこんだけ溜め込んだものだ 』 私は心の中で呟く
家族の話をしながら「ツイて無いのは大殺界だからかな...」 そう言うと
kaoru ちゃんは 「そんなもん 無い無い~ 」
此方にえびす顔を向けて アハハハハと 豪快に笑い飛ばす
「親とのいさかい」「子供の不登校」「美容室の経営難」
これまで立ち塞がる壁を ぶっ壊して進んで来た彼女の言葉は 実に頼もしい
たまにズケズケ 人の痛い所を衝いて来て 頭にくるけどね
腰痛治療に通っている 整形外科のリハビリ担当yu-koちゃんは
どんな話題をふっても 乗ってくれる
早速「大殺界」の話を 持ち出してみた
「それは12年周期で訪れる」と 言うと
「そういえば 夫や自分の大病も そんなサイクルだったような... 」と
思い当たったようで
私が「信じます?」と問うと
「ぜ~んぜん !」 彼女は楽しそうに うふふふふ と笑った
「人生良い事も悪い事も有りますよ~」 yu-koちゃんの声は「メジャー・コード」
聞いていて実に明るい気持ちになる 陽の響き
彼女のマッサージで 体も心も楽になる
どう転ぶか判らない先の事を心配するのは 私の悪い所
ぽっちゃり系でパワフルなkaoru ちゃんは 私の背中をパンと叩き
しなやかな強さを持つyu-koちゃんは 私の両肩をぎゅっと掴んで
私を雲散霧消の気分にして 送り出してくれたのだった