硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

動く 木彫刻

朝日新聞の「ひと」欄で 

若手木彫刻家の『大竹亮峯』さんが 紹介されていた

 

興味を注られたのは

彼が一年半かけて創作したという

水を与えると ゆっくり開花する

木彫刻の月下美人「月光」という作品

 

早速YouTubeで 拝見した

白い花の部分は 鹿角

 

作品を作るに当たって

月下美人が開花する様子を観察後

花を分解して 構造を調べた

 

「各々のパーツの大きさや厚み、重さ、摩擦等を

計算するのですが、誤差が半端ないんです。

実際に動かしながら調整していきます。

自然界の動きや作りが実に無駄がなく、

スムーズなのかを痛感しました。」

 

「最高に美しい瞬間を切り取ったものが彫刻です。

僕は動かすことで時間を加えたい。」

 

木の彫刻を 静から動へ というのは

凄い発想だし それを作り出せるというのに感嘆する

 


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落語に「竹の水仙」 という演目がある

伝説の彫刻師 左甚五郎が

無一文で連泊した宿屋から 宿賃を催促され

その代わりと渡したのが

竹で作った 水仙の蕾の彫刻

 

一文無しの男の言うまま

水を入れた花立に 水仙を差して

店の表に置くと 翌朝には花が咲いていた

それを目にした殿様が 買い求める

そんな噺

 

「落語の『竹の水仙』に登場する水仙

再現して欲しい。

あなたなら、実現可能だと信じております。」

という顧客の依頼に

「出来ますよ」と 即答してから4年。

 

竹ではなく木彫刻で 再現された作品がこちら

 


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大竹さんが 木の加工に興味を持ったのは

幼稚園の頃だった

人と関わる事が苦手で 皆と遊ぶより

幼稚園に置かれていた 大工の古道具で

無心に木を切ったり 釘を真っ直ぐ打つ事にハマって

いつしか物を作り出す事に

面白さを感じるようになった

 

美大の受験に失敗して 伝統工芸大学校に進む

一位一刀彫の 東勝広さんに弟子入り後 独立

 

彫刻は木の塊から 要らないものを削り取り

必要なものだけ残す

子供の頃から 彼の頭の中には完成品が

3Dとして見えていて

塊から それを具現化するだけだという

 

美大の失敗は 絵が書けないこと

頭の中に 出来上がった3Dがくるくる回って

固定できなくて “デッサン”にならない

立体を平面に変換出来るようになるには

時間がかかり過ぎるので 受験を諦めた

 

そんなお話にも びっくりです

 

不器用な私は 手先の器用な人が

羨ましい!

蓮と勝虫(トンボ)

 

現在 三井記念美術館において

特別展 「超絶技巧、未来へ!」

明治工芸とそのDNA  が 開催中(11/26まで)です

 

大竹さんの「月光」他 木彫り以外の

現代作家さんの 素晴らしい作品が

展示されております

 

興味の湧いた方は

芸術の秋に相応しい この展覧会に

足を運んでみては如何でしょう


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↑前回の展示の際 来館者の女性が

「何故ここだけ剥製が置いてあるの?」と

訊ねたという

ネジは使用されていない 作品

凄すぎー!