硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

春の別れ

春を告げる 黄色い花々を見ても... 悲しい

 

菜の花と梅 ╱ ミモザ

 

「私 3月の15日で退職するんです」

長年通院している 整形外科の施術担当yu-koさんから

先週 そう聞かされた

 

仄かに香る梅の花を見ても... 気持ちが塞ぐ

吊し雛のようなしだれ梅 ╱ 紅梅

こんな事は今までにも 何度もあった

「春は別れの季節」でもある

 

自分自身 そして 子供の保護者として

卒業 転校 習い事の終了

 

暗くなるまで部活に励んだ 同級生

土日祝日はいつもグランドで 共に過ごした 野球チームのママ友

各々の道を歩み始めた

 

社会に出れば 

地域 職場での 移動 転勤 退職

一緒にヨガを習っていた友人は 引っ越しトラックで遠くに去り

パート先の優しい先輩は 皆から送られた花束を抱え 泣いていた

 

そんな事と しばらく無縁な生活を送っていたせいか

妙に堪えた

 

木々を渡りながら「ぐぜり鳴き」をする 鴬の声も... 哀しい

  

10年以上のお付き合いになる yu-ko さん

「うふふふ」と笑う 彼女の明るい声が 好きだ

趣味で収集した人形達の 名付け親になってもらった

yu-koさんとは 何気ない会話ですら 楽しかった

 

まわりは以前と同じなのに 一つだけ欠けていることが辛くなる

時が過ぎれば きっと欠けたものを思い出さなくなるのだろう

それとも いつの間にか 他の何かで満ちてくるのかもしれない

 

凹んだ時は顔を上げ 空を見よう

遠くに沈む黒々とした山の際が 青白くなり始める

夜が明ける

黄金色の夜明け

 

谷川俊太郎さんの 「朝のリレー」を暗唱してみる

 

「カムチャツカの若者が キリンの夢をみているとき

メキシコの娘は朝もやの中で バスを待っている

.......

この地球では いつもどこかで朝がはじまっている

僕たちは 朝をリレーするのだ

......」

 

いつも完璧に 暗唱したことがない

それでも どこか遠くの誰かと 清々しい朝を

共有できた気分になる

 

 

今年は私にとって なにがしかの変化があるのかもしれない

そんな予感を感じながら

光と影が交差する道を歩いていく