硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

出世欲の無いお狐さん

腹の立つ事があった日は SNS で「怖い話」を見る

よく訪問するのは「怖い話まとめブログ」

とりわけ ほっこりしたり笑える話が好きだ

記憶に残る話は いくつも有るが 

その中の一つを紹介したい

 

『かわらけのお狐さん』というお話が

投稿されたのは 2012年の5月

 

投稿者が小学校の頃

友人達と 学校の畑を掘っていたら

陶器の白い狐のお面のようなものが 出てきた事から始まる

 

他にも七福神や打出の小鎚等 たくさん出てきて

「これはお宝だ」と 皆 気に入った物を

勝手に持ち帰った

近くで見ていた先生に 咎められる事も無かったので

他の子が「吊り目が怖い」と言って

嫌がったお狐さんを 私は喜んで持ち帰り 

大事に大事に 机の引き出しにしまっておいた

 

中学に上がった頃 テレビで「人形供養」とかの番組を観て

私のお狐さんも 神社に納めた方が良いのではと 思い始めた

あの時 掘り出されたものの由来は

大人に聞いても 分からないままだったが

土に埋められていたのなら

神社にお返しするのがよいと いうことになった

 

お狐さんなら稲荷神社

どうせなら 総本山の伏見稲荷がいいだろう

ちょうど家族で 京都旅行の予定があったので 

割れないように厳重にくるんで 鞄に入れた

お狐さんが手元から無くなってしまうのは

寂しいけど 潮時かなとも思った

 

京都行きの新幹線の中で 爆睡中

夢の中でも 現実と同じ新幹線に乗っていたけれど

乗客は 私と向かい合わせに座っている

茶髪で色の白い 兄ちゃんだけだった

 

ジーパンに白いTシャツ 

腕に紫色の リストバンドをしていた

その兄ちゃんは 困った顔で言った

 

「あのさー 神社行くのは良いけど 伏見はやめようぜ

嬢ちゃんも 急にエライ人んところへ行けって

言われたら困るだろう?

俺 ずっと地元に居たいのよ 

のんびりしてーの な?頼むよ」

 

兄ちゃんの 紫色のリストバンドは

お狐さんが割れないように ずっと引き出しの中に

しまっていた時から 包んでいた物だった

 

伏見稲荷には行ったけど お狐さんを納めるのをやめて

神社の人に 入手の経緯を話し 

どうすればいいか 質問したら

「ご近所の 稲荷神社か氏神さまにお納め下さい」

と 教えてくれたので

地元の稲荷神社に 納めることにした

 

地元のお稲荷さんに行く前日 

又 あの茶髪の兄ちゃんが 夢に出てきて

「世話になったなー これ嬢ちゃんに返すな」

そう言って 紫色のリストバンドを

私に返してくれた

 

翌日 お狐さんは無事 地元の稲荷神社に納められた

 

「あんまり怖くないけど  不思議な話かなと思ってここに」

と 締め括られていた

 

 

 

なんとも人間臭い 眷属神にほっこり

 

その後 ピンチになると助けてくれる人が 

あの兄ちゃんに似てるとか

神社で再会して 告られたなんて

漫画のような展開が無いから尚更いい

 

でも ドラマにしたいようなお話だ