硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

甘い話には裏がある

新年になって 初めて雪が積もった木曜日

金曜日には 晴れ間が覗き

雪が溶け掛けた週末の山道を チーと歩く

 

日陰に残る雪の上には

夜明け前に 活動する者の足跡

多分 ウサギ

 

崩れそうな祠も

この程度の雪なら大丈夫

お線香が消えるまでの間

雪掻きをして 雪だるまを作った

久しぶりに作ったが 出来映えも良い

 

木に繋いでいたチーのリードを外すと

いつもは さっさと祠を後にするのに

何を思ったのか 小さな祠の方に行き

いきなり鼻先で 雪だるまの頭を小突いた

丸い頭が外れて ごろんと転がった

 

戦国時代の落城跡地で 首が転がるなんて

なんて恐ろしい

慌てて頭を戻して 簡単に目鼻を付けて

拝み直した

元のお顔はもっと可愛いかった

 

すっかり明るくなった 帰り道

溶けかけの雪の模様が面白い

まるで 未解読文字

いや 「雪の宿」という

お煎餅の砂糖蜜みたい

 

右カーブの手前で 猪に出会う

檻の向こうなら大丈夫かな

スマホを取り出して  気が付いた

猪は捕獲器の中に居たのだ

哺乳類は 皆お友達のチーは

キュンキュン甘え鳴きをするが

若い猪は 何度か檻に体当たりをしていた

『親が居るかもしれない』

足早に その場所を離れた

 

あの捕獲器は 数年前から設置してあった

中央の餌らしき物を 

リスが木の上に 運んでいたっけ

いつも空の檻だったのに

今日は違った

 

経験が浅い若者には

甘い罠が 見抜けなかった

しかし 身をもって捕獲器の恐ろしさを

仲間に知らしめたのだから

別の命を 助けた事になるのだろう

望まぬ自己犠牲だとしても

 

『可哀想だが 仕方がない』

雪雲みたいに 心が重い

別の日に見掛けた若い猪