硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

「死ぬまでに一回やってみたい」

お盆休みに入って 久しぶりに家族と外食を楽しんだ 

暑い夏の昼下がり 

帰途につく途中で 夫が「アイスクリームを買おう」そう言って海に向かった  

しかし 予想通り 道の駅の駐車場は満車だった 

警備員に 他の駐車場の様子を聞いていると 

運良く目の前のスペースが空いたので 停めることができた 

 

駐車場の向こうは 海水浴場だが この時期になると もう混み合ってはいない 

遊歩道を歩いていると 海とは反対側の空に 何か浮かんでいる 

2つのパラグライダーだった 

そういえば ローカルニュースで紹介していたな 

近くの山の上から飛び立って しばし絶景が楽しめるらしい 

今日はあいにくの曇り空だから 海も少し暗いブルー

晴れていたら 空と海が繋がって  一面の煌めくブルーだろう

 

夢中で スマホ撮影している私の横で

「死ぬまでに一回やってみたいなぁ」 夫が呟く 

「気持ち良さそうだね~」 高所恐怖症の私でも 同感だ 

「鳥のように空を飛んでみたい」 それは 誰もが叶えてみたい夢だろう

 

 

 

短い飛行を終える為  青いパラグライダーが海上を旋回する 

《左から右へ旋回》

《もしかして この2人は飛行中の利用者を撮影するスタッフ?》

 

続いて オレンジ色のパラグライダーが降下してきた

《青いパラグライダーより高度が高い》

《先発隊の上を通過》

《インストラクターさん流石だね 着地点にピタリ》

 

 

帰宅後 早速SNS で検索してみた 

伊予灘を望む高度800mから空中散歩」

「滞空時間15~20分で お一人様12,000円」 

「講習もあるから 1時間半くらいは時間を取られる模様」 

夫に向かって 詳細を読み上げるも 返事なし 

 

ほら いつものアレだ

思い付きで言うだけだから 直ぐに忘れる

 

「そんな事言ったっけ?」

夫の言葉に呆れ 終日ぶんむくれていた休日が何度かあった

しかし 年月と共に気にならなくなった

 

「死ぬまでに行ってみたい」

「死ぬまでに一度は食べてみたい」

テレビやSNS で情報を得た瞬間に そう思うものの

それを長く記憶に留めておけないのは 老いたということかもしれない

 

その日の気分で 予定を決める休日

夫婦二人なら 今はこれがちょうど良い