硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

職場の話を3つだけ聞いて下さい 

民間企業の正社員で定年退職まで働ける女性はどのくらいいるのだろう? 

私は夫の転勤で退職したクチ その後はパートタイマーの仕事ばかり 

その職場の記憶に残るお話です 

 

宅建築後 勤務時間午前3時~午前6時までの食品加工工場で働いた 

メリットは子供の病気、学校行事、お稽古ごとの送迎に時間が取れること 

 

私は新規のラインに入った 仕事場では若い男性社員一人で采配を振っていたが

現ラインメンバーと仲が悪く(彼が新入社員の時にいびられていたらしい) 

ある時些細な事でいさかい事が起き 怒った現グループのボスが

「自分達が社員からひどい扱いを受けている」と彼の行状を訴える手紙を署名捺印の上 わざわざ本社の人事部へ出したのだ 

(彼はクビになるかもしれないと不安がっていた) 返ってきた回答は「社員の指示に従えない人は辞めてもらっても構わない」 というものだった

特別な資格も技能も必要としない作業 会社が必要としているのは 黙って指示に従い仕事をする人間 いや 歯車の一つにすぎない 代わりはいくらでもいるのだ 

開業当時からのベテラン 仕事も出来てグループのまとめ役 そんな自負を打ち砕かれて彼女は去って行った

幼稚園児だった子供が中学二年になった頃 私は腰を痛めてそこを退職した

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通勤(夜中・夜明け)の山道で怖いのは幽霊 ではなく濃霧と凍結 命に関わる

 

今度は座り仕事を見つけて転職した その会社の当時90歳を越えていた会長さんの話 

たまに工場視察に来られる時は従業員総出で大掃除 

ところが途中で帰られたことがあった 理由は植垣の手入れがされてなかった事 

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車内から左側の生垣を見て「気分が悪い! 帰る」と引き返された 

その後慌てて右側の状態にした    

その後の訪問でも敷地内の鳥居の色が褪せているのに着目し「あれは商売繁盛で奉ってるのではない! 従業員の無病息災の為なのに何事だ」と激怒 言うまでもなく直ぐに塗り直された 

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車椅子を断り自分の足で工場内を見て回られた時 製品検査中の私の横に立ち止まって選別した不良品ボックスから一つ取り出してじっと見ていた

「これはどこが駄目なのかな?」製品の瑕疵部分を説明しながら (お爺さんに見えるのかしら?)そう思った時

「この製品の不良率は何%かな?」即答を躊躇した「...平均する」『1.2%です』 私の言葉を遮って課長が答える (嘘つけ2%はあるぞ) 

既に2%以上の不良品が出されている箱を鋭い目で見つめて「...そうか」杖をつきながら会長さんは遠ざり 又 別の場所で質問をされていた 

超高齢者の会長さんが一代で築いた会社 現役なのは仕事が生きがいなのか 後継者に任せられないのか 「親族内継承」は雲の上の話

人を育て共に成長する気概の跡継ぎさんならいいな と敷地内の神社にお祈りしてみる

 

 子供の大学入学が決まり家を出たら 今度は近くに住む義母が軽度の認知症うつ病で不安定な状態になり そのフルタイムの仕事を辞めることとなった

子供の次は親の世話が巡って来るんだね 

 

次の仕事は勤務時間午後5時~午後10時までの食品工場に転職 

初出勤の日 作業前に集まった皆の前で課長が私をこう紹介した 

「今日から△ラインで仕事をする『私』さんです 出来ないわからないのは当たり前なので教えてあげて下さい くれぐれも苛めないで下さいね」最後の言葉に愕然とした 

スタートでいきなり足を引っかけられた気分 

でもそれは杞憂に終わり 気難しい人は居たけど皆気さくな人達だった 

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女性の多い職場は どこだって いろいろあります 

ただ一人意地悪な人がいて一緒に仕事をするのが苦痛だったので 課長に同じラインにならないようにシフトの配慮を頼んだ時は こう言われた

「『私』さん ここで一年でも辛抱して働いたら 今後どんな職場に行っても仕事ができる人になりますよ」正直笑えた ここは魑魅魍魎の住む場所か 

幸い私の要望をきいてもらえたので 膝を痛めて辞めるまで4年頑張れた  

 

夜間勤務の時期も ヘルプで仕事をしていたおかげで 現在は以前フルタイムで働いていた職場に復帰できた 

生活も落ち着いた義母の見守りの為 時間の束縛が少ない契約にしてもらい ようやく自分自身と仕事のバランスが取れるようになりました

夫婦どちらの親もよく働いた 親の背中を追うつもりもないのに 同じような道を歩いている いずれ畑を耕し身体の動く限りは働く そうなれば幸せだ

丈夫な身体に産んでくれた母に感謝する

 

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時間と共に環境が変わる うまく回れば良いけどね