硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

カミングアウトの先に

朝洗面所でドライヤーをかけると 気が付く

生え際の白髪が 目立ち始めた

「そろそろ 髪染めしなくちゃ...」

 

昨日 風呂上がりの義母の髪を 乾かした

ドライヤーで 根元から風を送る

薄い銀色の髪が ほんのわずかに混じるが

89歳の頭皮を覆うのは

ふさふさの黒髪

『羨ましいな』

 

50代から始めた白髪染め

費用と染めの時間は 馬鹿にならないが

まだ止める気にはならない

「老けた」自分の顔を見るのも

見られるのも嫌だから

 

新聞の投稿欄で

思い切って 白髪染めを止めて

カミングアウトをした女性の 話を読んだ

何度も美容院に通い ショートカットの

思い描いていた 綺麗なグレイヘアーになり

気分は上々

 

ある日 遊びに来た4歳の孫が

私の顔を見て 驚いた顔で言った

「おばあちゃん 玉手箱開けちゃったの?」

 

投稿者が 何と返したのかは

書かれていなかったが

お孫さんの 無垢で素直な言葉に笑ってしまった

 

いつか 私も白髪染めを止める時が来るだろう

もしも カミングアウト後に出会った友人が

私のグレイヘアーに 驚いた顔をしたら

「私この前 うっかり玉手箱を開けちゃったのよ~」

と 言ってみよう

どんな反応を見せてくれるかな

 

そのセリフを言いたさに

グレイヘアーも 楽しみになってきた