硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

犬と歩けば

桜が終わった頃から 愛犬の散歩に山コースを歩いていなかった 

国道から車で10分も走れば 頂上に着く標高452mのこの山には 

昔 小さな山城が有った 

土佐の長曽我部元親の侵攻に備えて 築城されたものの 

天正2年(1584年)に その長曽我部軍により落城してしまった

海側から侵攻された ╱ 頂上の給水ポイント

 

今では 城跡の手前は 遊具の無い公園になっている 

知識のある人が観れば「堀切」「城塁」「虎口」が分かるようだが

私にはさっぱりだ 

 

久しぶりに山コースを歩いていると

途中 アスファルトの車道に 合流する道が出来ていた 

強引に造られたような道

 

以前は 下りの斜面に竹や杉が生い茂っていた 

何故こんな所に 谷から道を通す必要が有るのだろう? 

国産の木材を 調達する為だろうか 


土の道には キャタピラー跡がくっきり着いていて

何処まで続いているのか 気になるので降りてみた 

こんな道を 人力だけで造るのは大変だろう 

斜面に広がる 杉の林を分断するように 道が通っている 

重機のパワーは凄いな 

何処に続くのか ワクワクしていたが 道は途中で終わっていた 

 

林の日当たりは良くなった ╱ ここで行き止まり

 

引き返して 別の細めの道を進んでみた 

こちらは つま先を横にして歩かないと 滑り転けそうな急坂が続く 

 

この高さから 一気に下るような道が続く

 

しばらく行くと 犬の声や車の音が聞こえ始め 

やがて 周囲が段々明るくなって 舗装した道に出た 

「ここに出るのかぁ」 そこは診療所に通う時の 抜け道だった 

そういえば 近くに製材所がある 

 

 

 

もうすぐ終点 ╱ 家と車が見えてきた

 

いつもは アスファルトの道路を 難なく歩いて散歩をしているけれど 

杉林の中 剥き出しの土の急坂を 恐々下りながら 

この山に 木材や石を運び 山城を造った昔人を思った 

 

それは 重機に劣らぬ力と骨太で健脚 

 人は文明の利器と引き換えに

本来持つ能力を 失いつつあるのではないだろうか

自然の中に居ると そんな気にさせられた