ある日の夕方 義母の薬を診療所に取りに行き 帰宅した
ふと助手席を見る いつの間に入り込んだのか美しい珍客がいた
初めて見る「蛾」だ
一瞬チェック柄に見えたが波のような流れる曲線
なんて素敵な色とデザインだろう しばし見入ってしまった
調べてみると「スズメガ科」の「雲紋雀」蛾とわかった
外に放そうと木の枝を近付けるとパタパタと羽ばたいた
その時広げた 胴体近くに折り畳んでいた羽根の色が 鮮やかな「赤」だった
危険に遭遇した時 敵を驚かせる為の手段なのだろう
私はまんまと術中にはまって仰天した 緑の中から突然現れた「真っ赤な羽根」
凄いな 神様は粋なアーティストだ
ひらりひらりと 優雅に羽ばたく蝶も美しいけれど
いろんな形の羽根を広げて休む蛾も 美しいものだと感心させられた
あれから私は視界に入った虫を じっくり観察するのが楽しくなった
水無月の日