このタイトルは 2月5日の朝日新聞「ひととき」に掲載された「ひ孫のぬくもり」
という読者投稿文の中にあった 言葉を引用した
何気ない言葉だけれど 私の心にも響いた
投稿者の方は84歳の女性
33歳の若さで娘さんが亡くなり 残された7歳の息子さんをご夫婦で育てられた
そのお孫さんが結婚し ひ孫を連れて2年ぶり大晦日に広島から福井に帰省した
元日の朝 たくさん積もった雪に4歳のひ孫は大はしゃぎ 皆で庭に雪だるまを作る
その日の午後 雨混じりのみぞれで 小さくなった雪だるまに
思わず『雪が消えてしまったね』と呟く私(投稿者)に
『雪は消えるんじゃないよ 溶けるんだよ』とひ孫は言う
「人間の死も まさにひ孫が言ったように この世から消えたのではない ゆかりの人の胸に溶け込んでいったのだ」
ご主人に先立たれて一年二ヶ月
「この何気ないひ孫の一言で 心に何かあたたかなものが すっと流れていったような気がする」と締め括られていた
雨は 生きとし生けるものに降り注ぎ 素早く地面を潤し流れていく
雪は 眠りについたものを起こさぬように 音もなく降り積もり
凍てついた地面にゆっくりと 深く深く滲み込んでいく
誰にでも 幼児の何気ない言葉に ハッとさせられた事があると思う
絡まった心の糸がほどけて 笑ってしまったり
逆に ちゃんとした会話が出来て 驚かされたり
一人暮らしの淋しさに気持ちが沈む度 この方はきっと思い出す
「雪は消えるんじゃないよ 溶けるんだよ」
雪解け水をたっぷり含んだ大地から 目覚め始めたもの達が顔を覗かせる
「私はここにいるよ」
ひ孫さんの言葉から感じ取った もう一つのメッセージに
私も胸が温かくなった