夕暮れ時に 遠くから聞こえる もの悲しい声…
向こうの木立のあちらこちらから響いてくる ひぐらし声
「万葉集」や「古今和歌集」にも ひぐらしを詠んだ歌があります
「 ひぐらしは 時と鳴けども片恋に たわや女我れは 時わかず泣く」…詠み人知らず
「み山吹く 風の響きとなりにけり 梢にならふひぐらしの声」…藤原定家
ひぐらしの声に感じる 寂寥感は時代を越えた 共通の趣のようです
ところが ひぐらしは夜明け前にも鳴くのです
まどろみの中の早朝 午前4時半 裏の山からひぐらしの声が響き渡る
途切れることなくこだまする ひぐらしの声 それを聞くうち 思った
これはアレだな 「静かな湖畔」
子供の頃 いくつかのグループに分かれて歌った記憶が あなたにもあるはず
1班 「静かな湖畔の森の影から~♪」ハイ! 2班「静かな湖畔の森の影から~🎶」
途切れることなく続く ひぐらし組のエンドレスな輪唱
そのうち …これは もしかしたら私の耳鳴りなのか? 判らなくなり始めたその時
直近の窓から 「クケケケケー」
突然 我が家のけやきに ひぐらしのソリストが登場 そして けたたましく熱唱を始めた
あの小さな体から 信じられない程の 大音量
婚活賑わう裏山から 何故 私の所にアプローチしに来たんだ?
中途半端な時間の完全覚醒を避けたかったが 我慢の限界! ご近所迷惑!
窓を開けるべく布団を蹴り飛ばすと ピタリと止んだ
やはり 今も昔も変わらない ひぐらしへの共通の思い
「蜩の おどろき啼くや 朝ぼらけ」 わかるよ~ 蕪村さん!