硝子の瞳と猫と

心温まる事 癒してくれるもの 綴っていきたいな

空蝉

玄関前で蝉の抜け殻を見付けた 

コンクリート製の郵便受けに しっかりとしがみついている 

背中が割れている生々しい抜け殻 

蝉は夜に羽化するらしい 見たかったなぁ 感動のドラマ  

 

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蝉の母が産卵した時は ここには二階の屋根に大きく枝を伸ばした ケヤキがあった 

去年半分程に切ったから 幼虫は昇る場所に困っただろうに 

無事に 羽化してくれたみたいで良かった 

家の敷地で見つけたのは 初めてだったので 嬉しくなってSNS 縁起を調べてみた 

「蝉の抜け殻を見つけたら 幸運が訪れる」

 

「宝くじでも 買ってみようかしら」 

そんな事を考えながら チーちゃんの散歩に出掛けたら 

銀杏の近くの草むらで また蝉の抜け殻を見付けた 

よく見ると5匹もいる どんだけの幸運に恵まれるんだ 私! 

もしかして高額当選金が確実とか?! 妄想が暴走 

「よっしゃー!」 スキップをしながら家に帰った 

 

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しかし 朝食をとりながら考えた

「幸運に恵まれる」と「金運に恵まれる」は同じではないな 

家族皆が健康で 災害にも見舞われず暮らしている こんな日常が「幸運」↓

 

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〈休日の昼下がり〉

 

春から 身内のトラブルに悩まされていた 

ずっと膠着状態が続いていたが 7月の連休明けから 難しいと思っていた事態が 少し動き始めた 

ちょうど 自宅で抜け殻を見つけた頃だ 

スピリチュアルでは 蝉の抜け殻は「忍耐」「ステップアップの前兆」という意味合いがあるらしい 不思議な符合 

 

人は「縁起の良いもの」に ちょっぴり元気を貰えるもの

今までに棚から ぼた餅が落ちてきた事はない 

せいぜい 「茶柱が立った」「四つ葉のクローバーを見つけた」

朝の情報番組で「今日の星占いが1位」

些細な事だけど 今日は少し頑張ってみようかと思えてくる 

 

「空蝉」は「蝉の抜け殻」のこと そして古語「現人(うつおしみ)」から

「この世に生きる人」という意味もあるそうだ 

 

今朝 チーちゃんの散歩中に 新たな蝉の抜け殻を3つ見付けた 

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〈前回の5つの抜け殻は木の向こう側〉

 

「....やっぱり買ってみよう サマージャンボ」 

どうも私は  足るを知らない欲深い現人らしい

人形者 あるある

古いお人形が大好きで 「気になるあの子」を ヤフオクやebay で我が家に永久ご招待

長い間に 招待客が団体様並みに増えてしまった

 

私の目の届く明るい場所は 既に定員オーバーとなり 

あぶれた皆様は 同じ部屋の折戸の向こう側 日陰の身に甘んじている

 

暗いクローゼット部屋の洋タンスから 久しぶりに二体のお人形を出してみた 

長い間 暗闇に閉じ込められていた「硝子の瞳」の少女は まるで骸のようだった 

 

部屋の中で 向き合って撮影をしても 相手から「何も感じられない ....空っぽだ」 

眠っているの?放置していた事を怒ってる? ちょっと焦った 

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低血圧の人を早朝に叩き起こしたら こんな感じ? ぼーっとしている...

 

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衣装に合わせたウィッグ↑    眉毛の色に合わせたウィッグ↑     

 


 

今は庭に花は無いけれど 硬い表情の少女を外に連れ出した

お日様に当たり 風を感じる 夏を謳歌する蝉の声 近くに蜂の羽音 

 

彼女達はゆっくりと目覚め始め「季節は夏」 そう感じているような表情に変わる 

 

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足を大怪我した子だけれど この屈託の無い笑顔に魅了される

 

 

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「あ 外の世界だ」 ようやくお目覚めしたみたい

 


私は プロカメラマンになった気分で 

「笑って~ いいね 可愛いよ」「こっち真っ直ぐ見て~ はい そのまま~」 

シャッターをきりまくる 

モデルさんは どんどん良いお顔になって 掲載画像の選定に苦労した

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ジャーマン・ドール「アーモンド・マルセル 1894 DEP 」 名前は「ローズマリー」 

 

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ジャーマン・ドール「K & R カマー&ラインハルト」 この子の名前は「ガブリエル」

 

ドイツっ子は 皆 無邪気で明るくて 何より愛嬌がある

「楽しかった」 青い瞳が語りかける 

ホントだね 短い時間だったけど 私も心が満たされた

 

 

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これは「お人形愛好家」には 多分頷いてもらえるお話 

夏定番の怪談ネタではありませんので 念のため 

 

通勤の車窓から ①

田舎あるある 「通勤手段は車のみ」 

自宅も勤務地も山の中  田舎 to 田舎 通勤途上の車窓から 

 

車をスタートさせて しばらくして気付いた 

ボンネットに オオカマキリの子供がしがみついていた 

義母の家までは1分程だ 頑張れ 

国道へ合流する地点で停車すると 飛ばされないように 何とかウィンドウの窪みに逃げ込む 「賢いな」 

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おかげで 無事 義母の庭に放してやれた 

次の世代まで どうか無事命を繋げられますようにと祈る 

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「フリーズしているシマヘビさん 生きてる?」このまま進むとタイヤでひきそう 

ブレーキを踏んだまま 様子見する 動く気配がないので ドアを開けて外に出ると 慌てて草むらに逃げ込んだ 

交通事故には気を付けてね 

 

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しばらく行くと 凄いものを見た 会社のすぐ側を 鳳凰が飛んでいるではないか 

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これは「吉祥」 近くに赤い鷹まで従えている 

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ここは神の畑か? 見たところ 只のとうもろこし畑 「脅し」があるのは珍しいな 

 

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水田・ 畑を縫うように 細い道が続く 

対向車が来ないか いつも緊張しながらの運転

それでも 夕方には早くも赤トンボが飛び回る稲畑を ゆっくり見渡せて気分が良い 

瑞穂の国の 美しい風景

さぁ 今日も暑い一日が始まる

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グルメなチーちゃん 〈夏編〉

愛犬チーちゃんの散歩には「モグモグタイム」がある 

 

日当たりの悪い場所にある 枇杷の木 

小さいけれど美味しいらしい 今年も実が少ないね

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栗畑の石垣から垂れ下がる赤い実「ナワシロイチゴ」 

酸味があるけど水分が多くて 私とチーちゃんのお気に入り   

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こちらも チーちゃんが自分で取れない木の実 野イチゴ(草イチゴ)より甘くて美味しい 

さつき、南天の茂みの中にある一本の木 ラズベリーではないかしら?

めっちゃ甘い実が付く チーちゃんと私 1:2の割合で分けて食べる

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山道の途中にある まだ小さく青い柿 

ヘタは枝に残り 実だけが道に落ちている これがチーちゃんのお気に入り 

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獲物を「自分の物」とする為 地面にこすり潰す勢いで匂い付け中

 

「そんなの食べなくても...」私が枝からもぎ取った綺麗な実には見向きもしない 

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こちらの実はスルー

 

「落ちてる実は美味しいのか?」私も食べてみたくて家に持ち帰る 

落下柿をナイフで二つに割ると 中身は黄色く色付き柔らかい 

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左╱枝に成っていた瑞々しい柿  右╱地面に落ちていた柿

 

きっと甘いに違いない 一口かじる「...!」 直ぐにひどい渋みが口の中に広がった 

試しに食べた もぎ取った方の青柿が更に渋かった!!

美味しいかもと期待した口に キツイ一撃をくらって 思わず叫ぶ 

「ちょっとー! コレめちゃ渋いやん! お前の味覚はどうなっとるーん!?」 

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犬は苦味は感じるらしいけど 渋みは気にならないのかな

この柿は秋に実が朱くなっても 人や鳥が食べる様子がない渋柿

 ごめんチーちゃん 分かってるんなら食べるな!って話だよね

 

しかし この渋柿には驚きの情報がある 

渋柿の「柿タンニン」は新型コロナウィルス等を不活化する抗菌・抗ウィルス作用があるらしい  

 

グルメなチーちゃん「良薬は口に苦し」ということですね  

アラクノフォビア 注意

6月の初旬  孵化した蜘蛛の子供達を見つけた 

思い思いに ゆっくり散って行くようだ 

二日後には ほとんど旅立っていた

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足を伸ばしても 1cm位の小さな蜘蛛達が 近場に巣を張る 

フェンスや茂みが 子蜘蛛の格好な住宅になった 

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でも 風雨が強かった翌日には 何匹も巣ごと姿を消していた 

自然淘汰」 消えては現れ 彼等は少しずつ成長していく

 

朝陽が当たれば 虹色に輝くしなやかで 透明な糸

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 朝靄の深い朝は  小さなビーズ玉を連ねて現れる レース編みのような美しい蜘蛛の糸 

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美しさと裏腹に 餌食を捕らえ命を奪う 殺しの糸 

 

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此方も孤独な闘いが 始まっている 

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家の壁面には たくさん産卵されているのに 私はカマキリの孵化に遭遇したことがない 

彼等は「動くもの(生き物)を捕らえて食べる」

空腹になれば共食いもする 孵化したらさっさと逃げるが勝ち 

一度の産卵で 100~300匹の子カマキリが孵化する 

そのうち大人になる確率は 4%といわれている 

夏に出会う 大人のカマキリは 毎年繰り広げられる生存競争に勝ち残った 「ほんの一握りの勝利者」なのだ 

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梅雨が開ければ 厳しい日射しの 暑い夏がやって来る 

草木が繁り 濃い影をおとす 

昆虫達が生命を謳歌する姿を また魅せてくれる    山滴る

創造主は素敵なデザイナー

ある日の夕方 義母の薬を診療所に取りに行き 帰宅した 

ふと助手席を見る いつの間に入り込んだのか美しい珍客がいた 

初めて見る「蛾」だ 

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帰宅するまで気付かなかった訪問者


一瞬チェック柄に見えたが波のような流れる曲線 

なんて素敵な色とデザインだろう しばし見入ってしまった 

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ふかふかな毛並みの頭とお尻

 

調べてみると「スズメガ科」の「雲紋雀」蛾とわかった 

外に放そうと木の枝を近付けるとパタパタと羽ばたいた 

その時広げた 胴体近くに折り畳んでいた羽根の色が 鮮やかな「赤」だった 

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飛ぶとこの部分が広がる

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ゆっくり羽ばたくともっと「赤」がハッキリ見える

危険に遭遇した時 敵を驚かせる為の手段なのだろう 

私はまんまと術中にはまって仰天した 緑の中から突然現れた「真っ赤な羽根」 

凄いな 神様は粋なアーティストだ 

 

ひらりひらりと 優雅に羽ばたく蝶も美しいけれど     

いろんな形の羽根を広げて休む蛾も 美しいものだと感心させられた 

あれから私は視界に入った虫を じっくり観察するのが楽しくなった 

水無月の日

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ケヤキに留まらせたけど翌朝には姿を消していた

 

しば餅を味わう

愛犬の散歩の時 「サルトリイバラ(猿取茨)」を見掛けるようになった 

この丸っこい葉で思い出すのは 伯母が作ってくれた「しば餅」

 

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手で簡単に千切れるが、トゲがあるので注意

 

子供の頃 学校が休みに入ると 一人でバスに乗り 山間部で酪農を営んでいた母の実家へ泊まりに出掛けた 

夏休み しば餅の葉を取ってくるのは子供の役目で 従姉妹と家の周囲 近くの山を回って 籠いっぱい取って帰った 

伯母は白い団子をたくさん作っていた 

その後のお手伝いはせずに 私達はすぐに遊びに出掛ける

疲れて帰れば 茶色い葉にくるまれ 艶やかな白い「しば餅」が できていた 

中のアンコは 程好い甘さのこし餡 

縁側で冷えた麦茶と一緒に従姉妹と食べた 物凄く美味しかった

 

大人になり 夫の実家を訪問した時 台所で湯気をたてている大きな蒸し器が見えた 

ガスレンジの側に立っていた義母が「じいさんが餅作れ餅作れ うるさいけぇ作りよるんよ」とぼやいた 

ダイニングテーブルの上には しば餅の葉が数枚置いてある 

久しぶりに食べられる!ワクワクした

しかし 蒸し器から取り出されたのは 餅ではなく「しば蒸しパン」だった 

正直ガッカリしたが 食べてみるとフカフカの蒸し生地に 甘さ控えめのつぶ餡 

義母の手作りつぶ餡は 凄く美味しい 

しかし この「しば蒸しパン」は 義父が亡くなってからは 義母は全く作らなくなってしまった 

 

サルトリイバラの葉を見てから 無性に「しば餅」が食べたくなって SNS のレシピを見ながら自分で作ってみた 

だんご粉に 市販のつぶ餡 出来は今一つなのに 私は満足だった 

 

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見た目良さげな2個 残りは餡はみ出し組で没

 

華奢な伯母が 7人分の餡を煮て 生地をこねた土間の台所 独りで薪をくべ 羽釜で蒸したのだろう  

あの頃 従姉妹の家はまだ お風呂もご飯も竈焚きだった

小柄な祖母は 山で背負子に たくさん薪を縛って帰って来た 

二宮金次郎は甘いな 祖母は 頭上数十センチ越えの高さまで 枝を乗せていたっけ 

牛舎での作業が一段落して 伯父と従兄弟が縁側で のんびりと煙草を一服 

ざるに並べた 「しば餅」を皆でくつろいで食べた

 

生地をこね 餡を包み 伯母を思う  葉でくるんで蒸して祖母に感謝する

無口な伯父と優しい従兄姉

私が本当に味わいたかったのは この想い出 

しば餅のように 温かい想い出だったのだ